■不眠は昔から■

野口健環境学校 東京都小笠原村
野口健環境学校 東京都小笠原村

●ぐっすり睡眠は最近 日本大学医学部教授 内山真氏

近代国家の成立する前の時代までは、夜は極めて危険な時代だった。

オオカミなどは飼っている羊をねらっている、治安が十分でなく盗賊も多かった。

一家の主人は物音がしたらすぐ起きられないと一家の生命と財産を守ることができなかった。

こうした状況で、心配や気がかりなことがあると眠れないという人間の特徴は、生き抜くための重要な戦略だった。

ぐっすり眠れない人の方がしっかりと一家の生命と財産を守ることができた。

昔でも安全に眠ることのできる環境にいた人はどうだったのか。

アンデルセン童話に、城で何不自由なく育った王女がマットと羽根布団を何枚も重ねたその下に一粒のエンドウ豆があっただけで一睡もできなかった、という話がある。

豊かで安全な環境で育った人はちょっとした環境の変化で不眠になりやすかった。

例外は、朝から晩まで過酷な労働に従事させられていた人々だ。

自らの休息に充てられる時間が極端に少なかったため、夜間は死んだようにぐっすりねむるのが普通だったという記録が残っている。

わたしたちが当たり前とみなす安心してぐっすり眠るという考えが、豊かで安全な社会に特有な新しいものなのだといえる。

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