■総合型私の所見−17■
総合型地域スポ−ツクラブの理念を元に、これまで様々な意見を述べさせていただきました。 それでは、この根本となる理念・制度は、現在どの様な状況になっているか、という点で検証してみたいと思います。 昨年度末、文部科学省の発表によると、総合型地域スポ−ツクラブとして名乗りを上げたクラブは、全国で既に2,000箇所を超え、今年度4月現在の市区町村数(全国1,827箇所)を上回る数に達しているそうです。 加えて、総合型の理念と同じような活動をしていても、敢えて「総合型」を名乗らずに、地道なコミュニティ活動を行なっているクラブも相当数あることでしょう。 文科省委託事業助成制度がスタ−トしてから、既に8年の月日が経過し、国の施策として基本的な期限(10年間)が終了するまでに、残すところ2年となっています。 この助成制度の窓口が、文科省から(財)日本体育協会に変わってからも早4年目を迎えているわけです。 実は、今年度この制度内容を見直し、大きな方針転換を行うと発表されました。 と言うのは、先に記した通り、全国市区町村数をクラブが上回ったということで、国策理念としては全国に行き渡り、実態として数字に表れてきているという判断の元、未だに「総合型」としてクラブが設置されていない市区町村のみを委託助成の対象とするということに変更されました。この要因として、この事業に対する国の予算が、昨年度の10億から7億3千万円まで3割近く減額されたことが大きな理由として上げられます。 減額の背景には、「スポ−ツ振興くじ(TOTO)」よりの歳入が思わしくないという点が大きな事由なのでしょう。 この方向転換によって、今年度、委託事業へ申請しようとしたクラブが活動の基盤とする市区町村を、既に「総合型クラブ」として他クラブが存在している地域と判断された場合、その申請すらも行なえないという状況となってしまいました。 地域住民が「総合型クラブ」へ手を挙げる場合、一朝一夕で行動が起こせるものではありません。少なくとも半年から1年、長ければ2年から3年の地域での準備期間が必要とされます。 高い志を持って、思い付いた瞬間に手を挙げられるものでもありません。 地域住民への理解を求めたり、同じ志を持つ仲間作りをしたり、活動場所の確保を行なったり、支援してくれる地域サポ−タ−を募ったり、基礎的にやらなければならない準備作業は大変な労力を必要とします。 まして、その多くがボランティアスタッフによっての、地固め作業として努力されているのです。 では、既に出来ているクラブはどうだったかというと、大半が地方公共団体の呼び掛けによって、既存の組織やグル−プが動かされて創り上げたものです。 その中には、行政主導でシナリオが書かれてきたクラブも少なくはありません。 つまり、地方行政の積極性や地域民度のレベルによって、先に手を挙げた者勝ち的な状況であったことは否めないでしょう。 その特筆すべき例を上げると、施策がスタ−トした当初は、この委託事業に対し年間300万円(期間2年)の助成金が交付されていたのが、昨年度実績では、年間120万円(期間2年)と減額されています。 その上今年度は、年間100万円(2年間)を上限まで減額されます。 助成金だけを比較しても、現時点では当初の三分の一まで、国の支援が縮小されていることになります。 この様な助成事業の性格上、致し方ない点は理解出来ますが、これまでの地域に対する啓発方法や今回の様な方針転換に対しては疑問を抱きます。 国策として進めてきたスポ−ツ振興計画事業は、現場の地域に不平等感・不均衡感を抱かせてはならないと思います。 特にこの間、国と地方を仲介する役割を担ってきた、都道府県レベルの啓発は積極的だったのでしょうか? まして、そこに体育協会という多くの競技団体を統括する組織が介在するとなると、「総合型」の理念を積極的に地域へ浸透させる努力が成されたか甚だ疑問です。 正に、日本の縦割り行政の弊害が、この様な施策にまで及んでいると感じます。 この「総合型地域スポ−ツクラブ構想」は、国が発信した「国策」であることを今一度振り返ってみる必要があるのではないでしょうか。 国が推進するということは、決して助成金という形を手厚くするということでもありません。 発信した責任上、地域を育てるための方策は幾つもあるのではないでしょうか? 地域の活動がし易い理論武装の支えとして、サポ−トする術を示すべきなのではと強く感じます。今回の方針転換によっての弊害に関しては、次回の投稿で書かせて頂こうと思います。 (太陽系) 以下次号へつづく。 |