■食料安全保障懸念■

レスタ−・ブラウン 氏
レスタ−・ブラウン 氏

●米ア−スポリシ−研究所所長 スタ−・ブラウン 氏(1934年米国生れ)

トウモロコシを使って自動車が走るのはすばらしいことだと米国人は以前から考えてきた。

中東の石油に頼らなくて済むからだ。

コ−ンベルト地帯の州政府を中心に、米国はエタノ−ルの利用を後押しし、1978年の立法によって国はエタノ−ルの生産1ガロン(3.785リットル)あたり51セントの実質的な補助金を出すようになった。

ただ、当初は生産の上昇率は極めてなだらかだった、今はほとんど垂直のこう配で伸び、工場への投資は熱狂と呼んでいい。

このままだと来年、米国で収穫するトウモロコシの半分はエタノ−ルに向かうだろう。

肉、牛乳、卵、チ−ズ、ヨ−グルトにアイスクリ−ム、これらの食品もトウモロコシ相場が上がれば、時間差があるにしても値上がりする。

やがて小麦やコメのような穀物も上がる、最後は見たこともない高値がつくだろう。

食糧安全保障にとって大きな懸念だ。

大型車のガソリンタンクをエタノ−ルで満タンにするには、人間一人が一年に食べる穀物が必要だ。

すべての穀物をエタノ−ルに代えても米国の自動車の燃料需要の16%程度しかカバ−できない。地球全体でみると、自動車に乗る8億人と、極めて貧しい生活をする20億人が同じ穀物を巡って争っている。

自動車を持つ人の年収は3万ドルぐらいあるのに、収入の半分を食費に使う貧しい層の年収は3千ドル以下だ。

極めて不公平な競争だ、この争いへの対策を講じる国連機関はない。

市場がただ機能しているだけだ、市場は人々の飢餓を心配しない。

(つづく)

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