■いのちに感謝■

太陽の表面温度約6000度、コロナは数百万度で輝いている
太陽の表面温度約6000度、コロナは数百万度で輝いている

●筑波大学名誉教授  村上 和雄 氏(1936年生 DNA解明の世界的権威)

約38億年前、地球上に最初の生物が誕生した。そして、すべての生物の設計図は遺伝子によって受け継がれてきた。その遺伝子を変化させることにより、数千万種類ともいわれる生物が生れ、人類が誕生した。

私たちの遺伝子は、38億年間一度も途切れることなく、受け継がれてきた。この間に一度でも事故が起これば、ヒトは存在しなかったはずだ。38億年という気の遠くなるような時間をかけて、ヒトは選び抜かれてこの世に誕生した。

ヒトの身体は膨大な数の細胞から成っているのに、どうして争いもなく、見事に生きていられるのか。ヒトの場合、約300種類もの異なる細胞が器官や臓器をかたちづくっている。そして、細胞や臓器は助け合いながら個体を生かす働きをしている。

1個の受精卵からヒトの赤ちゃんになる間に、胎児は生物の進化の歴史を繰り返すといわれている。胎児は、わずか38週間で約38億年の生物の進化の歴史を経過することになる。したがって、ヒトは地球生命38億歳である。

いま、生きる自信を失いかけている人に聞いていただきたい。宇宙は今から137億年くらい前に極微の1点が大爆発(ビッグバン)を起こして始まったといわれている。そして、ビッグバンの直後に生じた水素原子は現在、生き物の中に残っている。ヒトの身体には、宇宙の進化の歴史が凝縮されている。

どんな未熟な人も全宇宙を背負って生きている。命は自分だけのものではない。そういう意味で命は尊い。自分の命も、他人の命も、壊すのは簡単だが、一度壊したら二度とつくれない。命を粗末にすることは、大自然が137億年もかけて作り上げてきた最高傑作を無駄にすることになる。

この世に生れてきたこと自体、途方もない奇跡的な出来事なのだ。生きているだけでも有り難く、素晴らしいことだから、自殺も他殺も絶対にしてはいけない。この世に生かされていることに感謝しよう。

私たちは生れてきたことを喜び、生かされていることに感謝すれば、多くの眠っている良い遺伝子の働きがオンになる。あきらめず、努力し続ければ、必ずあなたの遺伝子は目覚め、限りない可能性を引き出せると思っている。

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