■総合型私の所見−19■
総合型地域スポーツクラブの運営、それを行うためには、「場所」・「人材」・「資金」の3つの柱が必要であるということは、以前に書かせていただきました。それでは、その一つ一つを検証してみたいと思います。 今回は、「活動場所」に焦点を当てて考えてみたいと思います。文部科学省が提言している「場所」は、公立小・中学校の施設を有効活用することが中心と提言しています。学校現場での「ゆとり教育」を推進する目的で、全国の公立学校では土曜日が休みという方向が打ち出され、現在は週5日制度が定着しています。そこで浮上してきたのが、土曜日の施設活用という問題です。この現実にラップするかの様に、「総合型地域スポーツクラブ」創設の動きが活発化していきました。 法律上、学校開放は、学校教育法第85条、社会教育法第44条及びスポーツ振興法第13条の規定に基づいて、「学校教育に支障がない範囲」で、教育委員会の所管する学校の施設を市民のスポーツ及びレクリエーション、学習その他公共活動の場として開放すること、市民の健康増進、情操の涵養及び教養の向上を図ることを目的としています。この考え方の原点は、学校施設は地域のものであり、「学校教育に支障がない範囲」という条件付であっても、地域での有効活用を行っていくというものであります。ところが、ここには多くの問題をはらんでいます。 この「学校教育に支障がない範囲」というのを具体的に述べると、ウィークデーの午後6時以降及び土曜・日曜の学校行事がない日ということになります。つまり、逆L字に当たる時間帯を指しています。この管理所管が教育委員会であるというのが一つの問題です。つまり、地方行政の条例でこの施設利用方法は規定されているのです。要は、各地方の教育委員会が、法律をどの様に解釈し、「住民への平等のサービス」をどの様に捉えて条例に記すかで、その環境は一変してしまうということなのです。 殆どの学校では、学校長の許可により施設を使えるという決まりになっていると思います。但し、学校長はあくまでも許可権者であって、施設利用に対しての最終的な責任の所在は、教育委員会又は教育長にあります。地域の行政所管に決定権もあるということなのです。利用者側から言うと、多くの学校施設において、施設を利用するためには二重構造のルールになっていることが、とても不明瞭な部分となり施設確保の障害となっています。 この第一関門である、一般市民が学校長へ施設利用許可をお願いすることなど、中々簡単に出来るものではありません。かと言って、教育委員会へ直接に利用意志を申し出ても、学校長の許可が必要ということで門前払いを喰らってしまうことが大半です。まして、長期的な活動計画の下、施設を潤沢に利用できるなどという事は、とても難しい状況なのです。法で規定されていても、地域での「解釈」が開放されていないのが現実と言えます。 次に、学校内の状況にも問題があります。それが第二の問題点。学校を経営する学校長には、私たちが思ってもみない部分で権限が与えられていないことがあります。それは、学校長には人事権がないこということです。各区市町村の学校教員は、各都道府県教育庁より任命され赴任しています。ここでも捻じれ現象というか、大きな矛盾点が生じています。現場の最高管理者が、公立教員にとっては人事権を持つ長ではないということです。 つい先日、教育三法が国会で議決され、教員の適正能力をある期間毎にする判定することになりました。ただ今後も働く現場で自らの上司が人事権を持たないということに変わりはないということです。教員は職場に不満があれば、転任の願いを出すことが出来るなど、通常の民間企業では考えられないほどその職域が守られてきました。 これが総合型の活動にとってどの様に影響するかというと、学校長が施設の利用を許可したとしても、現場教員が学校開放という実態に理解を示さず、法規の定める内容に対しても知らぬ顔をしていれば、活動クラブと教員の溝は対岸の火事の如く無関係を装われてしまいます。それは、開放されている学校に通う子ども達に大きな影響を与えます。どんなに子ども達にとって良い活動が行われようとも、教員からの啓発や積極的な参加呼び掛けが行われないなど、教員の他人事姿勢が大きな障害となっていきます。 特に中学校では、「部活動」という教員が既得権を持ってしまう領域があります。「部活動」という大義名分さえあれば、いつでも体育館・校庭など施設を自由に使えると勘違いをしてしまっている教員も少なくありません。数年前より、部活動は子ども達にとって必須ではなくなりました。それによって、各部特に運動部へ所属する子ども達の数は減少し、加えて、指導出来る教員の数も減っています。 少子高齢化が大きな要因となっていますが、にも関わらず、教員が前日や当日に部活動として施設を自由に使おうとする傾向は否めません。つまり現在、学校現場では、実態と規則の狭間で大きな矛盾が生じていることは確かなのです。そこには、もしかしたら子どもが不在という現象がおきているかもしれません。学校内の仕組みと、法で規定されている「学校開放」の考え方とは、現実が乖離している点が存在し、施設利用者にとってはとてもストレスが生じる要因となっています。 この他にも、「公立施設の場」の問題点はあり、且つ、民間の施設を使用したり、民間支援・援助を受けた場合はどうなるかなど、場についての話は次回に継続したいと思います。 |