| ■世界の重心は太平洋に■
●ノ−ベル平和賞受賞者・米元国務長官 キッシンジャ− 氏 1923年生 私が1951年に初めて日本に来たとき、日本の復興はまだ始まっていなかった。それ以来、日本は世界第2の経済大国となり、米国の同盟国となった。50年代に米国と日本が協力を決めたとき、対象はソ連であり、冷戦の時代だった。今は世界の体制が大きく流動化している。かって世界は、国民や国境を持ち、共通の言語や文化でくくられた国家を中心とした体制が支配的だった。いまや世界の政治構造は様変わりした。国家は主要な体制ではなくなり、欧州各国は欧州連合(EU)をつくったが、比重は日本、中国、インドを中心とするアジアに移ってきた。 中国は、私が71年に米高官として初めて訪れた時から考えると、信じられないほど力のある国になった。新しい中国はもはやイデオロギ−中心の国とはいえず、沿岸部には工業社会が出現して競争の要素が加わってきた。しかし、一方では8億〜9億の農民を抱える内陸の発展途上社会があり、両方の対処が必要だ。 今、人々は書物からではなくコンピュ−タ−から知識を得るようになった。多くの情報が簡単に手に入れられるようになった反面、物事を理解するための努力をしなくなった。現代の社会が抱える課題は、あり余る情報をいかに、問題解決に資する知識に変えていくかということだ。リ−ダ−は、前進する勇気が必要だが同時に限界を知る経験と知識も必要だ。 |