小学生の勉強の軽視−先進国では日本突出

遠い岬 山田嘉彦 画
遠い岬 山田嘉彦 画

●小学生の勉強の軽視−先進国では日本突出 御茶の水女子大学教授 耳塚 寛明 氏

ベネッセ教育研究開発センタ−が、東京、ソウル、北京、ヘルシンキ、ロンドン、ワシントンの小学5年生を対象とした国際比較調査の結果を発表した。

東京の子供たちの学習時間は欧米3都市よりも長いけれども、北京、ソウルと比べるとはるかに短い。学校の宿題に費やす時間は6都市中最短である。教育界は長い間詰め込み教育の是正に全精力を傾けてきた。世界の子供たちに照らして見れば、過度の競争の中で勉強に明け暮れる日本の子供の姿はもはや見あたらない。

いまひとつ、富や地位を手に入れる上で勉強が役立たないと考える東京の子供たちの特徴も浮かび上がった。会社や役所に入ってえらくなるために勉強がとても役立つと答えた子供は、東京30%、ソウル60%、ワシントン68%とは格段の開きがある。心にゆとりがある幸せな生活をするために勉強が役立つと答えた子供も、東京だけが例外的に少ない。

豊かさを享受する時代に、立身出世の夢や学びのすすめがいかほどの動機付けとなるのだろう。私たちはそう考えて、子供たちの学びへの意欲の低下を、先進国の文明病として半ばあきらめ受容してきた。ところが他国の子供たちは、勉強の効用をなお肯定し続けている。

日本の子供たちが見せるこの“独自性”は衝撃といってよい。私たちは学びのなにを否定し、どこを目指してきたのだろう。

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