■仏教と科学は競合しない 佐々木閑■
●仏教と科学は競合しない 花園大学教授 佐々木 閑 氏 1956年生 仏教は、理想の生き方を目指して特殊な修練をするという点からいえば宗教のひとつだが、キリスト教やイスラム教のように、絶対的な神は認めない。だから「神のお告げ」というものがない。しっかり坐って考え真理を悟る。それはすべて自分がやること。外の誰かが答えを教えてくれるのではない。 「その真理とは、原因と結果によって世界が動いていくという因果の法則だ」と釈迦は言うが、それは一人一人の心の中の法則性なので、耳で聞いて、「はいそうですか」と簡単に理解できるものではない。それが実感として体得するには、自分も釈迦と同じ体験をするしかない。そこに修業の意味がある。 このように仏教は、心の中の法則を探求する宗教なのだが、これとちょうど対になる分野が科学である。科学の目的も仏教と同じく、世界の法則を発見することにあるのだが、ただそれが外部にある物質世界の法則だという点に、仏教との違いがある。仏教は智慧の力で「心の法則」を探求し、科学は智慧の力で「物質世界の法則」を探求する。仏教と科学は、互いに補い合い、尊敬し合うことのできる、同じ次元の領域なのである。 科学と決別するどころか、これからいよいよ科学との連携が深まるに違いない、仏教という「宗教」があるということを忘れてもらっては困るのである。 |