行動展示

南極のペンギン
南極のペンギン

●行動展示 旭山動物園園長 小菅 正夫 氏

動物園にとって重要なのは来園者を動物のとりこにすることです。動物と一緒にいる空間を楽しんだ人は決して野生動物の絶滅に手を貸しません。ペンギンが水中を飛ぶように泳ぐ姿を覚えていてくれれば、ペンギンに危機が迫ったときに助けてくれます。だから動物園の動物が野生動物と同じような行動をする姿を見せようと考えました。それが「行動展示」です。

30年前の初めての海外旅行での経験が行動展示の基礎になったのかもしれません。就職から5年ほどしてオ−ストラリアとパプアニュ−ギニアを約1ヵ月半回りました。はまっていたカンガ−ルなど有袋類の研究のためです。カンガ−ルが集団で走る美しさに圧倒されるなど、野生動物のすごさを実感しました。

この旅行には思い出があります。当時百数十万円の費用がかかり、自分の貯金だけでは足りません。「行きたい、行きたい」とわめいていたら、友人が大学時代の柔道部や寮の同期に奉加帳を回してくれた。「土産などいらん」と言ってね。親もお金がないのに援助してくれました。

その後は仕事も忙しくなりゆっくりと野生動物を見に行く機会はありません。あと1年余りで定年を迎えますが、それまでは目の前にある仕事に全力投球し、定年後には今まで行きたかった場所を訪れたい。南米大陸の有袋類とマダカスカルのキツネザルを見るのと、モンゴルにオオカミの遠吠えを聞きに行くのを楽しみにしています。

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