■ころんだら、起きればよい-3■


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●ころんだら、起きればよい。鬼塚喜八郎「失敗の履歴書」

何かを始めたらトコトンやらなければ気がすまなかった。ムズカシイものから始めれば、あとは何でもできるが口癖だった。だますより、だまされるほうがいい。人に愚直の見本と言われてきた。面白みがないのは性分と居直ってきた。なんでも食べ、どこでもよく寝て、くよくよしなかった。まっ正直に生きてきた。走りに走りつづけてきた89年だった。不器用な人生だった。最後まで頑固な靴屋の親父だった。周囲を幸せにして初めて自分も幸せになれる。会社を家族的運命共同体と呼んだ。その家族の父が、2007年9月29日、突然、この世から消えた。

鬼塚喜八郎は、毎年新入社員を前にして、古代から近代へと引き継がれたスポ−ツマン精神の5ヵ条を、いつも声高らかに読み上げていた。

(第1条)スポ−ツマンは、常にル−ルを守り、仲間に対して不信な行動をしない。
(第2条)スポ−ツマンは、礼儀を重んじ、フェアプレ−の精神に徹し、いかなる相手もあなどらず、たじろがず、威張らず、不正を憎み、正々堂々と尋常に勝負する。
(第3条)スポ−ツマンは、絶えず自己のベストを尽くし、最後まで戦う。
(第4条)スポ−ツマンは、チ−ムの中の一員として時には犠牲的精神を発揮し、チ−ムが最高の勝利を得るために闘わなければならない。そこに信頼する良き友を得る。
(第5条)スポ−ツマンは、常に健康に留意し、絶えず練習の体験を積み重ね、人間能力の限界を拡大し、いついかなる時でもタイミング良く全力を発揮する習慣を養うことが必要である。

戦後の混乱期、スポ−ツの意味することが、これからの生活、社会、ビジネスなどのあらゆる場面に必要になると感じた鬼塚喜八郎。人間の価値基準や行動基準が変わり、人々が穏やかな気持ちで過ごすことが困難になりつつある昨今、ここで定義されているスポ−ツマンは、確かに、現代を生きるすべての人の道標になると思う。

そして、ここに新たな条項をひとつ、加えたい。
(第6条)スポ−ツマンは、ころんだら、起きればよい。失敗しても成功するまでやればよい。(おわり)

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