■マ−ケティングから見た企業の現代的課題−3■

神戸大学
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●組織のリテラシ−が市場変化への適応力を高める 神戸大学経営学部教授 石井 淳蔵 氏

既存の市場で既存の競合相手と競争していては、共倒れになってしまう。新しい市場を創造するマ−ケッティングが必要な時代である。そして、それを実行するできる能力をもつた有能ななマ−ケタ−が必要とされるのだ。強調したいのは、彼らマ−ケタ−が組織のリテラシ−とそのマネジメントによって支えられなければならないということである。有能なマ−ケタ−が突然現われるのを期待するのではない。昨日より今日、今日より明日と着実に組織の実力を貯えることを通じて、有能なマ−ケタ−を次々に輩出すること、彼らをサポ−トすることを考えないといけない。つまりマ−ケッティングに関する組織のリテラシ−を高めないといけない。

リテラシ−とは、IT界でよく用いられる言葉だが、ここでは、マ−ケッティングについての知識を学び、増やし、そして使いこなす力を言う。古い話だが、V9を達成した巨人軍の選手たちがその後、何人も日本のプロ野球界で、監督やコ−チなどの指導者として活躍したが、それは巨人軍という組織には高いリテラシ−があったことを証明する。

リテラシ−を高めるためには、今日の実践を知識に変えそれを明日の実践へとつなげる、マネジメントが必要だ。それがあってはじめて長期にわたる市場への適応力が備わる。もし、そのことを軽視して、「今日の売り上げをあげれば十分。明日は明日の風が吹く」という経営姿勢をとっていると、組織としてのリテラシ−の着実な成長は望めない。何より、「昨日より今日の方が組織として実力が付いた」ことを確認できるマネジメントが必要である。マネジメントなしに適応を計ることは、体重計や血圧計をもたないままダイエットをやるようなものだ。当座の成長を犠牲にしても、そうしたマネジメントを確立することの方が大事な場合だってある。

日本企業は、いま、「過剰アクション」と「過小なマネジメント」を修正する時期を迎えている。日本企業がとる一つひとつのアクションは、優れている。だが、それらの活動がマネジメントされていないこと、組織のリテラシ−として蓄積されていないことが問題なのである。

以上、業界や競合の枠を脱して創造的な適応を計ること、そしてその試みを支える「知識を集め増やし使いこなす」ためのマネジメントを確立すること、これが今後の日本企業の課題だと思う。(おわり)

*リテラシ−とは、IT界でよく用いられる言葉だが、ここでは、マ−ケッティングについての知識を学び、増やし、そして使いこなす力を言う。

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