■龍になれ、雲、おのずから集まる■

 
表参道ヒルズ

●東京には魅力が乏しいと国際社会は感じている 森ビル(株)社長 森  稔 氏

東京という都市はなぜこれほどまでに無秩序に巨大化し、美しさや豊かさに欠けるのだろうか。私は若い頃からずっとそう考えてきたように思います。海外の大都市に比べ、東京には大人がゆったり楽しめる場や文化に触れる機会が乏しい。

おそらくそれは、計画的な都市づくりに失敗してきた歴史があるからだと思うのです。関東大震災、第2次世界大戦と、東京は焼け野原になりましたが、当時の日本には抜本的な都市計画を実行する財力も技術もありませんでした。その後、東京オリンピックに向けて東京改造計画が実施されましたが、これも十分ではなかった。そのツケが、今、巡ってきています。

アジア諸都市が急激に台頭するなかで、東京をこのまま放置すれば、国際的な経済競争や文化力の競争にも敗れてしまうでしょう。これは日本にとって大きな危機です。海外の人々にとって、日本、すなわち首都東京の魅力がビジネス面でも観光面でも色あせつつあることを肌で感じています。

国際化、情報化によって、人、金、物、情報は国境を越え、もっとも魅力のある都市に集中していきます。この力を私は「磁力」と呼んでいるのですが、磁力は21世紀の都市間競争を制するカギになると思います。海外から来る人は富士山を見にくるわけではない。人々は都市の磁力に惹かれて集まり、その集積のエネルギ−がまた人を惹きつけるのです。

ですから、私は東京の磁力を高めるような磁場をもっともっと創りたい。人々が集まり、交流し、協働する舞台を創りたい。六本木ヒルズや表参道ヒルズも、東京の磁力を高めるための磁場のひとつなのです。ビジネス、文化、教育等々、さまざまな形の魅力的な磁場が増えれば、東京の磁力はもっと高まるものと思います。(つづく)

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