■老後のない人生■
●老後のない人生 白川静の世界 『漢字』や字源の辞典『字統』などの著者でしられた白川静 氏は、平成18年10月に亡くなった。96歳だった。白川氏は83歳の時に「もう自分の義務を終えたというときがくれば、書物の上で遊びたいと思って『大航海時代叢書(そうしょ)』正続を買っておいてあるのです。書物の中で、あの時代の世界を旅してみたい」と語っていた。 白川氏の長女、津崎史(ふみ)さん 談 「実は中国古代の金属に刻まれた文字、金文字について論じた『新修金文集』を『完成させたら老後や』『私の老後は98歳からや』と言っていたんです。結局、老後の楽しみだった書物の旅は実現できなかったのです。京都の自宅の二階。階段を上がった付近に『大航海時代叢書』第T期・第U期の計37冊が置かれたままになっていました。でも、本人は亡くなる直前『よう、書いたな』と語り、自分の仕事や生き方に満足していた様子でした」 |