■比叡山回峰二千日満行■

酒井大阿闍梨
酒井大阿闍梨

●比叡山回峰二千日満行 天台宗大阿闍梨 酒井 雄哉(ゆうさい) 氏(81)

14年がかりで約8万キロを歩くなどの比叡山回峰二千日満行。比叡山入り口の坂本の信者のおばさんたちからは「阿闍梨さんらしくちゃんとしてください」って怒られちゃう。「ええじゃ、おれはおれだ」なんて言っちゃて。ここ、お寺っつう感じじゃないだろう? ほら、仏様のとこなんて倉庫になっちゃって。こないだ来た人、「本当に行をしたんですか?」なんて言うんだもん。「したことになってんですよねえ」なんてな。

9日間の不眠不臥、断水断食の「堂入り」。4日目くらいから死斑が出てきて魚のくさったようなにおいがしてきて。死臭だな。やらないと分かんないもんだな。元の体に戻すには27日は養生せよと伝えられている。そうすれば後遺症もないし、細胞が改造されちゃうわけ。何事も元に戻すには3倍の時間がかかるんだな。生死のふちを感じてみると、なんと尊いものをいただいているかと思うよ。だから、簡単に命を殺すようなことを決してしてはいけないんだよな。

昔の人は葉っぱが落ちただけで悟りを開いたっていうじゃない。そりゃ、枯れりゃ葉っぱが落ちるじゃないのっていうことだけどさ。青く茂って時期が来たら葉が落ちる。来年になったら青く茂ってくる。それを見て、「ああ生命っていうのは1回でおしまいじゃない、つながっているんだな」って気づいていく。こういうのが仏様からいただく「仏智」なんだな。

勉強して知識ばかり増やすのでなくて、自分がこのくらいまでなら分かるな、と思ったら、実践していけばいいのよ。実践すれば智恵が出てくる。智恵が出たら、こうしてみようとか、もう少し勉強しようとか思うでしょう。それを繰り返し繰り返し、だんだんだんだんとね。(つづく)

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