■謙虚であれ、軸をぶらさず■

●謙虚であれ、軸をぶらさず 早稲田大学ビジネススク−ル教授 内田 和成 氏

先の読めない時代だからこそ、日本企業に今求められているのはどんな変化にも対応できる「柔らかさ」である。そのために重要なことは、「謙虚さ」である。謙虚になれば、日本経済に起きていること、あるいはユ−ザ−の変化、競合の戦略の方向性が見えてくる。

誤解を恐れずに言えば、日本企業はBRICsをはじめアジアの諸国などの企業を、「こちらの方が、技術力が高い」と、つい下に見てはいないか。これではうまいパ−トナ−シップを構築できるはずがない。「学ぶことがたくさんある」と考えることこそ成功の鍵と信じる。ビジネスチャンスや経営の新しいヒントも生まれよう。大企業における中小企業やベンチャ−企業との付き合い、および女性社員や外国人社員の活用においても同じことがいえるだろう。

謙虚になることは実は己を客観的によく知ることであり、最も難しいことでもある。ところが、単に謙虚なだけでは、相手次第で振り回されてしまうリスクがある。そうならないために「軸がぶれないこと」が非常に大切である。自分たちが社会に存在する意義、提供する価値についてのしっかりした考えを持つことが肝要だ。軸をむやみに変えているようでは、社会、あるいは取引先から、「なくてはならない企業」として見てもらうことは難しい。

そういう視点で見てみると、例えば株主価値至上の世において、周囲に振り回されることなく自社の得意とするものを磨き、信念を持って顧客第一主義あるいは従業員第一主義を貫くのは決して時代遅れではなく「軸がぶれない企業」とみなされよう。

また「新しいアイデアにあふれユニ−クな製品を出す」ことを常に期待されている企業なら、どんなに苦しくても顧客にサプライズを与える商品を出し続けるべき。間違っても周囲に惑わされ、画一的な商品を低価格で販売するようなことがあってはいけないと思う。

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