■龍になれ、雲、おのずから集まる-2■
●高層化の誤解を希望へと変えていく 森ビル(株)社長 森 稔 氏 同時に都市を楽しむ時間も生み出さなければなりません。今、私たちに必要なのは自由な時間であり、会いたい人や芸術や文化が身近にある暮らしではないでしょうか。 長距離通勤や交通渋滞に悩まされながら、やっとの思いで仕事を続けているような環境からは、精神的、文化的な豊かさも知識創造への意欲も高まりません。 経済大国・日本の首都に暮らす人々が、現在のままのライフスタイルで何を楽しみ、何を生み出すことができるでしょうか。通勤に往復2、3時間かかれば定年までの約40年間、実際の活動時間を考慮して計算すると、延べ5年間も通勤電車の中で過ごすことになるのです。 これは「平面過密・垂直過疎」の都市構造に原因があります。皆が戸建てや低層建物を望めば街は建て詰まり、都市は際限なく広がります。移動時間が個人の時間を奪い、緑も失われます。 しかし、空を見あげれば、そこには無限の空間が残されています。建物を高層化することで都市に必要な空間を生み出し、その分広くとった足元を緑に変える。こうすればヒ−トアイランド現象も改善され、省エネ効果も上がります。最先端技術を駆使した超高層ビルが地震にも強いことは、阪神・淡路大震災で証明されました。 国際的な視野で見た時、東京はどのような方向を目指すべきか。地震に強く、豊かな都市文化を育むような、緑豊かなアジア型超高層都市モデルを、私はずっと探し求めてきました。(つづく) |