■ドイツのスポ−ツ事情−15■
●スポ−ツの多様化への対応 ドイツ・ケルン体育大学教授 フォルカ−・リットナ− 氏 スポ−ツがいかに多様化していったかということを(図12)によって示しました。スポ−ツということを考えた場合、あるいはスポ−ツ政策ということを考えた場合には、はっきりこう認識しなければいけないんですが、伝統的なスポ−ツ、競技的スポ−ツというのはまだあるんですけれども、ほかにもいろいろな形のスポ−ツがあって、それらが社会政策的に大きな意味をもっているということを認識しなければいけないということです。 まず健康の分野がありますし、あるいは楽しみ、余暇というものが重要性を増してきています。それぞれの分野はそれぞれの分野なりの論理を持っているわけですから、それに対応したプログラムをクラブ側も提供していかなければいけないということになります。 指導者もやはりこうした分野では健康のことについて熟知している人、医療的な知識を持っている人が指導者にならなければいけないわけで、ケルン体育大学でも毎年6000人もの人たちが、健康スポ−ツ指導者といった、そういう資格をとっているわけで、それが必要だということです。また余暇活動としてのスポ−ツということになると、やはり競技を目指したものとは違うスポ−ツの楽しみ方であるということを認識し、楽しみながら仲間をつくるといったスポ−ツのあり方に対する専門の指導者というのが必要になります。 つまり指導者というよりは、みんなを楽しませる人といったそういった資質も求められてくるわけです。ですからスポ−ツをするということを目指すものが多様化している、それに対応するということで、画一的なやり方ではもはや不十分であるということです。 ●ネットワ−クの具体例 私たちがミュ−ルハイムという地区で行なった具体例を紹介します。私たちはそこで次のようなネットワ−クを構築しました。(図13) 町、都市の計画課、あるいは青少年局、社会保険課、社会教育課、様々な利益共同体、それから企業、学校、自助、互助団体、こういう機関とネットワ−クをつくりながらスポ−ツ施策を進めることを行いました。 円卓会議みたいなものを設けて、そこには青少年課ですとか、体育課、クラブ、高齢者、この場合はスポ−ツの従来の施設、体育館とか、それだけじゃなくて、様々なスポ−ツの機会、公園ですとか原っぱですとかそういうものをすべて念頭に置きながらお互いに議論を交わしました。 2005年7月に始めましたが、まずその地区の役所にオフィスを構えました。そこで必ず二人、学生がいることになりました。そのネットワ−クの構築、それぞれの運営、領域を超えた、オ−ガニゼ−ションを超えた、協力をここで行いました。 ミュ−ルハイムのスポ−ツ局、あるいは体育局などと協力しあいながら、スポ−ツのもっている可能性をひきだそうと努力しました。その場合の目標および方法ですが、まずミュ−ルハイム地区の状況はどうなのか、それについての概観をつかむ、それを分析する、ということを行いました。 様々な幼稚園ですとか青少年局の施設ですとか、そういったところを訪れました。それから運動の問題を抱えているような子どもたちを対象としたワ−クグル−プをつくったりしました。スポ−ツクラブと学校と幼稚園、青少年の家、そのような様々な組織がこの地区にありますけれども、これらの組織をネットワ−クで結びました。そこで協働しながら、協同のプロジェクトをつくり、それを実行していくことを行いました。 これはスポ−ツクラブと青少年問題を担当する局のネットワ−クの協力の結果ですけれども、その中にマウンテンバイクの公園をつくりました。それからライン川の近くにランニングのコ−スをつくったりもしました。ドイツではこういったことを行なうというのはどこにもない新しい試みです。 幼稚園で働く人たちのためのセミナ−、ダンス、創造的な運動をしていくにはどのようなことをしていけばいいのか、そのためのワ−クショップのチ−ムをつくりました。幼稚園では子どもの運動、それから調整力、それを矯正する、非常に適切な機関になるわけです。(つづく) 次号予定 ●導かれた命題 |