■ルポ 貧困大国アメリカ■


堤未果 氏

●ルポ 貧困大国アメリカ 堤 未果著 岩波新書 700円

一握りの富める者と膨大な数の貧しい人々………。急激に進むアメリカ社会の二極化の足元で何が起きているのか。人々の苦難の上でいったい誰が暴利をむさぼっているのか。追いやられる人々の肉声を通して、その現状を報告する。

●書評 兵庫県立大教授 中沢 孝夫 氏

アメリカによるイラク戦争は「貧困」によって支えられているようだ。大学の奨学金や溜まったクレジットカ−ドの支払いのためには軍隊にいくのがてっとりばやい。あるいは不法移民が市民権を得るには軍隊へいくのが近道だ。徴兵制がないアメリカで、戦場で何千人と兵士が死んでいく現実があるにもかかわらず、どんどん兵士の調達が可能なのは、軍隊にいくより選択肢のない貧困が背景にあるからである。

福祉としてのフ−ドスタンプ(食料配給切符)により、貧困家庭の子供たちは、カロリ−の高いマカロニ&チ−ズやフライドチキンやピザなどが常食となり、結果として「肥満」する。世界を揺るがすサブプライムロ−ン問題も、まともなロ−ンに相手にされない貧しさが背景にある。

自由競争の中にある医療は、貧困家庭が医者にかかれないだけではなく、4人家族で日本円にして年額120万にもなる掛け金を支払う医療保険に入っていても、心筋梗塞の手術で4日、乳がん手術なら2日で病院を追い出される。

徹底した競争社会・アメリカの現実を伝える本書は、その後を追う日本への強い警告の書となっている。

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