■仕事には哲学が必要■

神戸市中央区 芸術の道
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●仕事にはあなたの哲学が必要です 作家・僧侶 瀬戸内 寂聴 氏 1922年生

いい仕事をしたいなら、先行きをしっかり見据えて、進む方向を自分でつかんでおくことです。今の自分の立場や目の前のことに振り回されて足元が揺れ動いてはダメですね。遠くを見る、それが会社や社会の役に立つことかを考えながら、足の置き場を選んでいくのです。

それは哲学とも言えます。何のために自分は仕事をするのか。その土台が強くなければ、すぐ目の前のトラブルや他人の思惑に巻き込まれてあたふたしだし、足元をすくわれていくことになるでしょう。

私は「源氏物語」の現代語訳を10年近くも続けましたけれど、それは日本人の誇りを取り戻すためという、私自身の目標があったから。だから途中で投げ出さなかった。もちろん、仕事は生活の糧を得るために毎日続けていくもの。でもその日々の努力の流れはどのような大海に注ぐのか、決めれば迷いがなくなるでしょう。

私は男尊女卑の考え方がとても嫌いです。とくに仕事については男も女もないと思っていますから、意欲があって能力がついてくるなら、個人の資質を見るべきだと思います。

ただし、四角四面に平等を振りかざすのは賢いとは言えませんね。女性が結婚しても仕事を持つことが多くなると、夫が家事を半分やるのが当然と要求し、かなわないと互いにストレスになる。あるいは会社でお茶くみをさせられるのがどうしても嫌だという。そこにお茶があり、飲みたい人がいるなら、誰がいれてもバチは当たらない。

男性も女性も沽券(こけん)にかかわりすぎではないかと思います。そんなつまらないことにこだわってギクシャクし、本来の家庭の幸福や職場の協力態勢が壊れるようなことでどうするんですか。男だから、女だからと線を引く自分の中の古臭い感情はもう捨てていい。もっと大きな視野を持つ時代になっているのです。

自分の仕事は愛さなければなりません。愛し、誇りを持つこと。どのように小さな会社でも、労働条件が少しくらい悪くても、社員が誇りを持っているといつのまにかその会社は大きくなっていくものです。組織とは本来一人ひとりが作り上げているもので、日本という国も例外ではありません。早く日本人がそれに気づいて欲しいのです。

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