山の暮らし

里路の秋
里路の秋

●心にインドの風景や香りが残っている タレント イ−デス・ハンソン 68歳

熊野古道が通る和歌山県田辺市に移り住んで21年。都会と違って、夜がちゃんと暗くなるところです。夜空の邪魔にならない程度の弱々しい電気がぽつん、ぽつんとついているだけ。天の川や彗星がすごくきれいやね。仕事でない時は、本を読んだり、草を刈ったり、山や沢に入ってじっと座ってキジとかキツネとか動物を待ったり………。山の香りや1日の光が変化して、何時間でも自然を楽しめます。

インドで生まれて、第2次世界大戦が始まって、2歳半から3年ほどアメリカにいました。それから、9歳まで再びインドで。両親は宣教師やった。インドでは北部のヒマラヤ山脈のすそ、標高2千メ−トルの町に住んでて、ミッションスク−ルに通っていました。

5人きょうだいの末ですねん。12歳離れてたんやけど、すぐ上の兄と木登りなんかして、よう遊んだわ。枝が広がるベンガルボダイジュがあって、そこにいくつもの部屋があると想像して、「ここで暮らしたい」って、母親にいうほどやった。

ままごととか、女の子の遊びは面白いとは思わんへんかった。雨期にになると、一晩でシダやコケががすごく大きくなるし、動物と遊び、山を走り回っている方が楽しかった。大きなクワガタムシやトカゲを家に持ち帰って、飼っていたこともありますよ。その面白さは、大人になっても忘れてへんなあ。

自然に囲まれた環境で寝起きするのは、すごく気持ちいいこと。子どもの時に出来上がった基準やないかしら。仕事が多くて、自然を楽しめない時期もあったんやけど、好きやったから、心のどこかにインドの風景や香りが残っているんです。

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