普及活動のページ レッツ・ゴー・ボウリング! 第35章
宮田 哲郎
(社)日本プロボウリング協会 (社)日本体育学会・体育経営管理部会員
平成20(2008)年6月1日号
![]() 棟方志功 1903-1975 |
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ボウリングを仕立て直す(その3)
われわれの業界は、大ボウリング・ブームという願ってもない時代の
動きに乗って発展してきました。疾風怒濤のあと、レーンと人口総数
の需給バランスが取れ始めた1980年代は、1000円レジャーの
割安感からか続伸を続ける売り上げを見て、ボウリングの魅力はまだ
まだあるなと思えました。
それが1992年をピークに、ずっと*前年比一ケタ減から脱出でき
ず、続落傾向にあることはご承知のとおりです。以前まで、業況変化
はGDPなど[経済の変化]と高をくくっていたのですが、人口構造
の変動に起因する社会の変化が始まったのです。
*1992−93年 参加人口4,020万人、2,040億円。
1、業界を仕立て直したい(2)
今月も、「ボウリングを仕立て直す」チャレンジについてお話します。
前回、長く書き続けていた「新LTB」戦略の一部をご紹介しました
が、早速どうしたら入手できるのか、総合型構想への参画には、何か
の*資格が必要か、人集めに苦労しないとはどういうことか、などと
質問がありました。
*私見ですが、JARBAセンターであることは、最低限
必要でしょう。
応対する前に、質問センターの「属性」を調べましたが、残念なことに
JARBAメンバーではなく、開業以来ずっと完全な娯楽型センターを
志向してきたようでした。したがって、人(指導者)もおらず、総合型
理念に適う活動をするには、どうかな? と危惧されるセンターでした。
私の「マニュアル」には、総合型クラブ構想とボウリング場の共同作戦
を中心に書かれていますが、安直な発想でやるなら、正直いって願い下
げたいと思うのです。
(写し)新LTB マニュアルの一部抜粋
今までにボウリングを殆どやらなかった人や、
初めての人々を集めて教育・理解させ、遂には
*愛好者(リピーター)まで育て上げることを
目的とする、「戦略的なボウリング教室」である。
@5回・5週(1回×2時間)の計10時間が
ベースとなり、その上に「模擬リーグ」などを
組合せて6―8週間ぐらいまで伸長させる。
目的によって、1−2回で終わる短期型スクール
がある。
A目的は、LTBでボウリングを正しく理解し、
リーグ参加など「生活スポーツを楽しむ」よう
動機づけすること。仮に参加頻度が少なくても、
この種目をよく評価する*オピニオン・リーダー
になっていただくことが目的である。
Bテキストは、すべての属性で異なるボウリング・
ニーズ(アンケート聴取に立脚している)を基に
しており、セールス・トークのマスターに重点を
おくものである。
*オピニオン・リーダーとは:ボウリング理解者で、「くちコミ
のPR」をしてくれる、有名・無名を問わない重要人物。多くは
、若者より地域の年配者であり、知識人、地元有志で、ふだんは
目立たないが本当の有力者である。
例えば、家庭においては父母、地域PTA、町内会役員であり、
学校では青少年育成協議会委員、体育指導委員である。当然、
総合型構想推進に関わるすべての方々を指すことになる。
2.構想が分からない人たちが,まだまだ多い!
ブームから出発したボウリング産業で長くやってきた人たちの中には、
私の提案を理解しない(できないのではなく、したくないのだろう)
方々が、「この地では多い」のだな、と思うことがある。
そして相変らず、業界側の一方的な広告戦略に頼り切っており、この
ような提案型活動を「面倒くさがる」ように思える。業界にはすでに
残された時間が少ないだけに、まことに残念です。
前にも申しましたが、最近はマス・メデイアにつぎ込む原資も少なく、
継続的なパブリシテイにはなかなか至っていない。したがって、効果も
期待するほど発揮できず、一時的な効果はあっても、長続きすることは
めったにないのです。
結局、ボウリング場など地域に生きる企業は、自助努力で顧客を開拓し
なければ生きてゆけないのです。色々な方のご意見を聞いてきましたが
、結論は脱トレンド・マーケテイングです。「自力で新しいボウラーを」
、同志が集まり、力をあわせてつくるのです。
とは言え、結論に賛成しない業界人が、最近はめっきりと減りました。
参入を躊躇うのは、種々の理由で業界から退出しようとしているのかも
しれません。
3.産業の本質とトレンドの終わり
さて、トレンドの定義を「時代の気分」とか「流行」とかにおきかえると
、理解しやすい。ボウリングがとっくの昔に[オフ]になっていることは
、業界人は誰でも[肌で・・・]感じているであろう。
このたびのブリタニカ執筆では、ブームで始まった業界の説明で苦労した
が、時代と社会の風潮を正しく知るには、社会学や民俗学などの基礎学問
絶対に欠かせないことに今更気づくのでした。1960年代から70年代
の日本人の[遊びの意識]とボウリングについて、評論家 立花 隆氏は
、次のように*著述していますが、30年前の指摘が現在の業界に依然と
して当てはまるのは、いかがなものでしょうか。
・・・遊びの世界でも、ますますセグメント化が進行する。
その意味でポスト・ボウリングの本命はない。というより、
ボウリングは前レジャー時代の「あだ花」でしかなかったと
見るべきであろう。
ボウリングの中には、「多様性」がない。
どこに行っても、同じ非個性的な機械を相手に同じ行為を繰り
返すだけだ。その意味では、同じ条件におかれているパチンコ
が廃れないのは、別の要因による。・・・
ギャンブルであること、孤独なゲームであること、以上の二つの
要因が与えてくれる個人的なドラマ性、技能と偶然性(機械の
良し悪し)の適度な混在等である。・・・
もし、パチンコのルールが改訂されて、ボウリングのように全く
等質の機械が並ぶ店で、指定された台で打ち、どちらがよく入る
かを競うゲームにされたとしたら、パチンコはたちまち廃れるに
違いない。・・・ 1976年[遊びの研究]岡敬三ほか編より抜粋
最初に私見を述べれば、まったく賛成できない見解である。立花氏の論調は、
当時としては完全に当たっているが、今も将来も正しいとしたら、業界は何を
頼りに仕事をするのであろうか?
過去はともかく、将来も立花氏の指摘どおりの業界で良いとは、誰も思わな
いだろうが、「完全な反論」を試みる業界人は、少ないだろう。
そこが問題点なのである。
上の文章を読んで「ボウリングにギャンブル性を取り入れたら」とか、
「キャッシュ・プライズのリーグやトーナメント」などと言い出す
「浅知恵」の業界人が、いまも多いことも更なる問題点なのである。
どうかみなさんの議論を深めていただきたい。
単純娯楽のツールであり続けたボウリングに、新しい付加価値を見出す
同志が集まり、新しい方向の仕事を始めたい。政治家や業界リーダーが
一堂に集まり、将来を話し合うのは大いなる進歩だが、前提として社会
変化とニーズに根底から対応する理論武装を忘れてはならない。
ときは、大きく動いている。
新しい「スポーツ振興法」の制定、次なる通常国会で[スポーツ庁]発足
の提案がなされる機運にあり、文科省とJBC、経産省と日本ボウリング
場協会の関係でも、まったく新しい展開が予想できる。
将来を見据えた「仮説による」行動こそが、最も重要な時代であることを
忘れないようにしよう。今なら何ができるか、仮説の実現に足らないもの
は何かなどを話し合い、準備をはじめる時期なのである。