普及活動のページ レッツ・ゴー・ボウリング! 第36章
宮田 哲郎
(社)日本プロボウリング協会 (社)日本体育学会・体育経営管理部会員
平成20(2008)年7月1日号
![]() 浅田梨奈 07年高校チャンピオン |
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ボウリングを仕立て直す(その4)
前号の続きである。
遊びのブームで始まったボウリング業界だから、遊びとボウリングの
関係など、いまこそ基本に帰った地道な議論が必要だろうと考える。
生来、私は社会学が大好きで、若いころから基礎的な書物はたいがい
読み耽ってきたが、これからは多分 ここで述べるような*遊びの方向
にあわせた仕事が正解になるだろうと確信している。
*単純な娯楽ばかりでなく、自己実現の方法としての現代的な遊びの意。
いささか短慮であるといわれることを覚悟して、仕事人らしい簡潔な
物言いで述べてみよう。
1、業界を仕立て直したい(3)
今月も、「ボウリングを仕立て直す」チャレンジです。
「新LTB」戦略のテキストとマニュアルは、次のような仮説から
スタートしました。
すなわち、ボウリングを「生涯スポーツとしてやってみよう」と思う
人々を想定しています。あるいは、スクールの後に「その気にさせる」
つもりでもあります。
教室のテキストは、人々がボウリングに期待していること、ボウリング
で実現したいことに添って執筆しました。一部をご紹介しましょう。
2.ボウリングをする理由:簡単にいえば・・・こうなる
@子どもたち:健やかに、元気に、素直に育ってほしい(親の願い)
Aレデイス:いつも美しく、健やかに、家族・友人となかよく
Bシニア:健康不安・社会や家庭から孤立したくない・道志向
Cヤング:より多くの人たちと知り合いたい、楽しみたい
D会社・商店・団体:職場の親睦とやる気の向上
E自治会・町内会・PTA:地域・学域の親睦と世代交流
以上は顧客の6つの属性とニーズであるが、実際のスクールにおいては
、コーチのせりふが[動機付け]の重要なポイントとなる。動機付けの
キーワードを簡潔にいえば次の通りであるが、総合型プログラムでは、
「すらすら言える・・・」までなんどもトレーニングする。
子ども:教育の場として、親子の対話、子どもの交流、ストレス解消
レデイス:健康と美容(やせたい)、友人家族との楽しみ、ストレス解消
シニア:10年若く、友人家族と交流、同世代交流、道志向、孤独感解消
ヤング:友達、知人がほしい、何かに熱中したい、仲間に差を、運動したい
職場・職域:世代・地位を越える交流と懇親、やる気アップ、ストレス解消
地域:住民の交流、世代間交流と連帯感醸成、運動の楽しみ、ストレス解消
3.スポーツ・レジャーを楽しむ人々の変化
社会の変化は、必ず文化行動の変化をもたらす。
遊びも同様に変化するが、様々な要素が絡み合っている複合的なもので
あるから、単純に定義することはできないし、無意味でさえある。
分かっていることは、遊びでも、より上位の概念で行動する賢い人々が
おり、その消費行動がさらに成熟してくることである。賢い人とは往々
にして社会のオピニオンをリードする人であり、*これが増えてくると
「流行現象」まで引き起こす。
*社会現象をリードするのは、ひとむかし前のように若者とはかぎらない。
スポーツ・レジャーでも、アメリカ型の単純大量消費ではなく、テーマ
を持った行動をする人が多くなる。ヨーロッパ型の消費がだんだん増え
てくるのである。テーマを追求するために、当然のようにリピートする
のである。
果たして、ボウリングは「それにふさわしいアイテム」であり得るか?
リピートして飽きない、奥行きある内容とサービスを提供できるのか?
はたして、愚問である。スポーツであるから、当然できるのである。
業界は、「ここをずっと忘れて行動し続けてきた」だけである。
賢い人々は、まだいまは多数派ではないが、必ず増えてくる。人口減
時代は、単なる来場数よりもリピートする人々の数で産業の興亡が
決まる。
リピート率の向上とはなにか? 古くて新しい、切実な命題である。
その意味で「5,000万人キャンペーン」は、ちょっと方向違いの
感があるが、業界の[励まし]の掛け声と聞けば納得する人もあろう。
だが・・・、急いで方向転換する必要はないのだろうか?
カイヨワやホイジンガ、フロイトの遊びとレジャーの心理学など古典的
理論はさんざん読んだが、遊びの動機が「日常からの逃避から自己拡張
のチャレンジ」へ変るとき、スポーツが登場する好機である。
スポーツと遊びは、すぐれて個人的な行動であるが、スポーツの実体は
陶酔と冒険の世界である。しかし、「遊びが商品化された」歴史をもつ
ボウリングは、長い間*「単純な娯楽アイテム」と誤解され続けてきた。
*前号、立花 隆氏の論文を参照。実にひどく誤解されている!
もし、ボウリングがスポーツでないとしたら、真のリピーターを育てる
ことは絶対にできない。われわれの産業は座して死を待つことになろう。
フランスの社会学者デュマズイエは、余暇を「休息と娯楽、自己啓発」
に分けたが、ボウリングはすべてのニーズに応じられる、非常に優れた
種目特性がある。そして、総合型構想を助ける仕事を、単なる売上げ
促進と考える人は、幸にも、決してわれわれの仲間入りして来ない。
われわれは、業界主流とは全く[異質の存在]であリ,少数派である。
しかし、新しい時代社会の中で、健全な発展を遂げることを望むなら、
*旧来の業界文化とは異質の試みを営々と続ける必要がある。残り時間
は少ないが、いま正攻法に戻る余裕はまだまだあると思うのである。
*トレンド志向から提案型のマーケテイングへ変換すること。
以上の話をすると、「ボウリングはスポーツか、否か?」などと、議論を
ふきかけてくる人(たいがい、本人は大真面目なので困る)に出会う。
ものの価値観には、おのずから個人差があり、幼稚な議論につきあえば
時間の浪費であろう。大切なことは、行動なのである。 −以下、次号。