◆アジアの時代◆

渡辺 藤一 画
渡辺 藤一 画

●日本総合研究所会長 寺島 実郎(てらしま じつろう)氏

いま世界全体の国内総生産(GDP)の25%をアジアが占めており、さらに2050には50%を占めるといわれている。産業革命以降の約200年間、西洋優位の歴史が続いたが、これから40年間はアジアの時代が訪れるという視点が重要ではないか。

アジアではどんな変化が起きているのか。成長著しい中国は華僑や台湾企業などと有機的連携を強め、“大中華圏(グレ−タ−・チャイナ)”を形成している。かって米国は日本の最大の貿易相手国だった。だが、現状は3割近くがこの“大中華圏”相手だ。米国との貿易が2割を割り込む一方、ユ−ラシア大陸との割合は7割に迫っている。

こうした貿易構造のアジアシフトに伴い、物流が日本海側中心に変化している。太平洋側の港湾が空洞化しているのだ。通商国家日本のシンボルだった神戸港、横浜港の地盤沈下が著しい。その理由は韓国・釜山港がハブ化したことだ。神戸港経由で荷物を運んでいた国内の業者でさえ、コストや効率の良さから釜山を利用するようになった。

人の移動という視点も大切だ。昨年日本人で中国に向け出国した人は375万人。米国に向け出国した367万人を初めて上回った。アジア域内での人の移動がいよいよ増えていることを意味する。今後、ビザの規制が緩和されれば、中国からの渡航者が飛躍的に増える可能性もある。アジア大移動時代にがすぐそこに迫っており、移動をテコに21世紀を構想すべきだ。

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