◆自然との共生◆
●「日本人の心」は自然保護の最先端 東京大学名誉教授 岩槻 邦男(いわつき くにお)氏 日本人は昔から、自然となじみあい、ともに生きる生活を送ってきました。日本ではその地形によるところもありますが、低地や谷地に居住し、田畑を耕し人里を形成していました。人里に接した里山は、薪や炭などのエネルギ−の供給源であり、人の手が加わった半自然地帯でした。そしてその奥に、人が踏み入れない、神の住む場所として奥山があったのです。日本人にとって自然とは神様が宿っていると考えていました。日本には「鎮守の森」があります。神社やどんなに小さな祠でも、必ず神様は森に守られているのです。 私たちは昔から、生活に必要な部分に手を入れ、それ以外の自然には決して手を付けませんでした。一方、西洋人にとって自然とは悪魔が住む場所でした。つまり、人間の文明や叡智で切り開き、征服していく場所だったのです。 明治以降、この西洋の文化、考え方が入ってくるとともに、私たちは「自然との共生」という心を忘れてしまったのです。しかし今、世界的な自然保護の考え方は、私たち日本人が行なってきた自然との接し方、まさにそのものなのです。(つづく) |