●若者よ「自分探し」するな●

●若者よ「自分探し」するな 学習院大学教授 佐々木 毅(ささき たけし)氏 1942年生

若いひとたちの自分探しはいつどこにでもあったでしょうが、今の日本では社会現象になっている。そもそも、自分はよく分からないというのが人生の基本なのに、探せば石ころみたいに見つかるんですか。自分がモノのようにどこかにあると考えるのは極めて幼稚で、知的に鍛錬されていないにおいがします。

もちろん自分探しがゼロの人は困る。しかし、何でも自分自分自分、自分探しを人生のメ−ンテ−マにしてしまっていいのか。残念ながら世の中はあなたのためにあるわけではない。まず職探しをして、飯が食えるようになってからじっくり取り組めばいい。人間は社会的存在である、ということから逃れられません。社会と自分のかかわり合いをつくるのが人生にとって最大のテ−マのはずです。

自分探しをしていれば生きていけるというのはぜいたくです。豊かさの結果でしょう。我々が若かったころの、ニンジンをぶら下げられて働くというメカニズムはもう効かず、ニンジンは嫌だという話になる。世の中には動かし難い現実があるんだという学習も不足しています。(つづく)

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