●熱湯経営V字回復●
●熱湯経営V字回復 大和ハウス工業会長兼CEO 樋口 武男 氏 1938年生 人は気分で変わるものです。人のモチベ−ションをベ−スに考えなければなりません。大和団地に社長として行った当初、赤字で業績は落ち、社員の気持ちはなえていました。取材に訪れた記者たちも、「まずリストラですね」と聞いてくる。私はリストラはしないと答えました。そして社員を年間100人増やし、支店を増やせと指示した。大和団地は将来、大和ハウスに勝とうと社員に夢を与えたのです。そのかわり、仕事には厳しくあたらせることにしました。 ある日、人事課長が慌てて入ってきた。退職者が120人に及ぶというのです。会社を熱湯にしたら“ぬるま湯”に慣れ、なまくら病が身についていた者はついてこれなくなった。しかし、それに耐えた者たちは心の底から“やる気”を燃え立たせていきました。当時、一緒に働いた社員たちは、「あのころは楽しかった」と言ってくれます。 8年ぶりに大和ハウスに社長として戻ると、目をギラつかせた野武士たちの群れは跡形もなく消えていました。業績が順調にいって「立派な会社になりましたね」と言われ、おさまり返っている。大和ハウスは石橋信夫オ−ナ−が、一代・四十数年で売り上げ1兆円にまで育てた企業です。 それは、オ−ナ−が一生懸命で、あの人があれだけ真剣なのだからついてゆこうとなった結果なのだと思います。オ−ナ−が亡くなった後を継いだ一番バッタ−の私は、そのDNAを継承しなくてはいけない。オ−ナ−と語り合った「10兆円企業になろう」という夢の途上で、おさまってなどいられないのです。 オ−ナ−から教わった最大のものは、徹底した現場主義です。自分の目で見て、触って、足を踏み入れて、においをかぐ。そこから知恵を得る姿です。 ビジネスマンには、明確な目標とビジョンを持ってもらいたい。志がなければ、頑張れるはずもありません。いまや日本全体が「大組織病」にかかってしまったかのようです。かって日本人が持っていた、チャレンジする心を取り戻したいと強く願っています。 |