●中学で「よのなか」科を創設-2●

東京・浅草 雷門
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第2回
第1回

●ビジネスも教育も本質的には同じ 東京都杉並区立和田中学校校長 藤原 和博 氏

かって高度成長社会では、「物質的な豊かさ」が国民の一致した「正解」であり、ビジネスパ−ソンは「正解」に早くたどり着くための「情報処理力」が重視されました。しかし今の日本のように複雑化した成熟社会では、物質的な豊かさは、単純に生活の質や幸せを保証する「正解」ではなくなったのです。

さらに成熟が進む日本では今後、異なる価値観を、他人との関係のなかで調整し、自らも相手も納得させる「納得解」を導き出すことが必要となるでしょう。その能力を「情報編集力」と呼んでいるのです。

現在も多くの学校で行われている、情報処理能力のみを養う教育は改めなければいけません。これからの子供たちは、情報編集力も身につけ、与えられるものではなく、自分自身が納得できる人生観、幸福感、世界観などをつくっていかなければならないのです。

ビジネスから教育の世界へ転身したきっかけは、「リクル−ト事件」以降に経験したリクル−ト社内のごたごたで、企業の中で出世していくことがあまりかっこいいことではないな、と思い始めたこと。そして赴任先の英国やフランスで見た、成熟社会の個人のあり方に感銘を受け、「日本での教育改革は急務だ」と強く感じたことです。

わたしがリクル−トでやってきてことと、この学校でやっていることは、本質的には違いがないんですよ。どちらもある意味で「新規事業の立ち上げ」と、それをきちんと浸透させる「営業」です。

そもそもビジネスの世界だって、市場というのは基本的には保守的なもので、新規事業の立ち上げでは必ず苦労しました。教育の世界だけが特別に保守的ということはありません。

幸いなことな、私のマネイジメントが受け入れられ、就任2年目以降、和田中学の入学希望者が増え続けているという「成果」も出ているので、先生からも反発はありません。杉並区は通う中学を選べる「学校希望制」なので、学区外の保護者らも「自分の子供を託せる学校」と認めてくれたのです。

私は「よのなか」科を含む「和田中方式」というパッケ−ジを生み出し、この学校をショ−ル−ム化して手本を示しました。この5年間で、5千人以上の教育関係者が視察に来ています。「よのなか」科的な公開授業は着実に広がっているし、民間企業出身の校長を採用する自治体も増えてきました。

教育は、上からの指示ではなく現場の意志で変わっていくことが重要です。オセロゲ−ムで最後に勝敗が決まる時にざ−っと盤の色が変わるように、5年以内には、全国の学校が一気に変わるときがやってくると信じています。(おわり)

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