●生活習慣の乱れから始まる糖尿病●

松上老猿 川合玉堂 画 1873-1957
松上老猿 川合玉堂 画 1873-1957

●順天堂大学医学部内科学教授 河盛 隆造 氏 1943年生

増え続けている糖尿病患者。約1620万人、つまり成人の6人に1人が糖尿病か予備軍とみられ、なかでも40歳から74歳の男性の32.2%、同女性の31.5%が有病者か予備軍と推定されています。

いま私がもっとも心配しているのは、糖尿病と診断されていながら治療をしていない人が非常に多いことです。なんと半数近くが治療を受けていないのです。

糖尿病は、血糖値(血液中のブドウ糖の濃度)が異常に高い状態が続く病気です。初期段階では自覚症状がありませんが、放置していると動脈硬化が進み、30代、40代の若い人でも脳卒中や心筋梗塞など命に関わる疾患を起こすことがあります。長期にわたると次第に壊疽(えそ)、失明、腎不全など3大合併症の恐れが高まってきます。

食事の欧米化や間食の増加、運動不足など生活習慣の影響が糖尿病患者や予備軍増加の大きな要因となっています。しかし、たとえ「糖尿病が強く疑われる」と診断されても、血糖を適切にコントロ−ルすれば、糖尿病などの発症と進行を食い止めることができます。ですから、早い段階で異常と分かったら幸いと考え、食事や運動の正しい方法を身に付けて、糖尿病以前の血糖値に戻しましょう。

糖尿病や予備軍と診断されたら、ご家族全員でその改善に取り組みたいものです。糖尿病の多くは「環境因子」「遺伝的体質」が関与しているからです。ご主人や奥様が有病者となれば、同じ体質を持つお子さんも心配されます。大切なのは自覚を持って、日ごろの食事と運動など、家族で生活習慣をよりよくすることです。摂取エネルギ−は適量に、栄養バランスの良い食事を心がけ、日常生活でも立って活動する時間を増やしましょう。

なかでも食事については、低カロリ−甘味料などを上手に使用しておいしく楽しんで食べていただきたいと思います。糖尿病と意識的に付き合うことで、きっと人生がメリハリのあるものに変わるはずです。

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