●日本のお金持ち研究●
●日本のお金持研究 同志社大学経済学部教授 橘木 俊詔(たちばなき としあき) 氏 現在の日本のお金持ちを調べるために、高額納税者名簿(2006年に廃止)で納税額が2年連続で3千万以上の人へアンケ−トを送り、その回答から職業や学歴などを探った。 現在のお金持ちの注目すべき特徴は「学歴」である。高度成長期にはサラリ−マン社長が高額所得の代表で、優良企業に入社するために偏差値が高い大学を目指す受験競争時代が長く続いた。 しかし、アンケ−トの回答を見ると、今のお金持ちは「学歴は関係ない」と回答している。ある有名なIT企業家は、「受験や昇進競争の末に社長になったところで、その頃には50代か60代。若いうちに起業してお金持ちになり人生を楽しみたい」と豪語してその通り成功した。 実際には、化粧品製造、飲食店チェ−ン、パチンコ経営者、消費者金融、コンサルタント、人材派遣業など、お金持ちの多くが組織内競争ではなく起業の成功によって財を成している。このような現象は医師の世界にも現われている。 その専門を詳しく調べてみると、美容整形と眼科、皮膚科、精神科が多いことが分かった。これらは保険外診療が多く、眼科は糖尿病などによる白内障手術が増加していることが要因のようだ。彼らに直接話を聞くと、「学生時代の成績は芳しくなかった。優秀な人は内科や外科に勤務した」という。 新聞などでも勤務医の労働条件の厳しさが報道されるなか、医学部に進学する若者の多くが美容整形や眼科、皮膚科を希望しているようである。もし、優秀な人材が人の命を助ける内科や外科に行かなくなれば、日本の医療は大きな問題を抱えることになる。(つづく) |