●若者が働きやすい社会のあり方-2●
●新卒採用を廃止して柔軟な専門性を育成 教育社会学者 本田 由紀 氏 今、企業の学生への要求水準は高く、面接では仕事の高い意識が問われます。学生は必死で業界や企業を研究し、高い意識をもって入社する。でも実際の仕事は期待していたレベルのものではなかったり、異なる職種だったりして、意識の高かった学生ほどやる気をなくしてしまう。右肩上がりや年功序列の恩恵は期待できないのに、求められることは昔よりうんと厳しい。正社員の労働環境も過酷になっており、正社員だからハッピ−だとはいえない状況があります。 若者が社員になれないことや、早期退職の問題を防ぐためには、在学中に就職活動をし、卒業後、すぐに正社員にならなくてはならない硬直的な状況を変える必要があります。極端にいえば、新卒採用を廃止してしまう。日本では在学中に就職活動を始める学生が9割以上なのに、他の先進諸国では2割から5割。就職活動は本来、卒業後に一定の時間をかけて行なうものです。 一括採用をやめる代わりに、職種別に人員が必要なときに採用する。最初は職種別にきちんと仕事内容を説明し、その職種に納得した人を雇う。そのうえで、営業で入社したけどマ−ケッティングに興味がわいてきたというなら方向転換できる。ゼネラルマネジャ−として領域を広げていってもいい。最初に専門性を一応決めておきながらも、その後フレキシブルに変更できるようにするのです。 私はフレクスペシヤリティ−(柔軟な専門性)と呼んでいますが、これからは仕事のベ−スとしながらも柔軟に転換や発展させていけるような専門性を、学校で若者に身につけさせるべきです。労働者としての権利を教え、理不尽な扱いには「変だ」と言える批判精神を育むことも大切です。 90年代以降、日本の企業は様変わりしました。それに対し、従来の発想で自己責任論を振りかざしていても解決にはなりません。誰も直面したことのない社会で生きる若者に、生き延びるための武器と身を守るバリア−をもたせることは、社会の最低限の責任です。(おわり) |