●日本は衰退国である●

●日本は衰退国である 経営共創基盤社長 冨山 和彦 氏

日本は衰退国である。失われた15年での経済成長率2.2%は、経済協力開発機構(OECD)諸国の平均2.9%を大きく下回り、一人当りの国内総生産(GDP)も1993年のOECD中2位から今や18位に転落した。品格論者は「日本はカネ、カネ、カネの社会に成り下がった」と嘆くが、実際は、世界的にもカネの稼げない国、国民になりつつある。

これは4年間にわたりわが国の事業再生の最前線に身を置いた筆者自身の実感でもある。機会費用という観点からは、日本は今も「失い続けて」いる。

世界には日本国内とけた違いの格差が存在する。市場経済圏が拡大する中、中国やインドなど新興国の急成長は、先進国との格差をうめる大きなうねりとなっている。国家間の富の移動が自由になり、天然資源大国と人材資源大国への富のシフトも加速する。環境やエネルギ−などの制約や、米国のサブプライムロ−ン問題などの調整局面はあるが、こうした世界経済の見取図は2008年以降も大きく変わらないだろう。

原子力を除くエネルギ−の96%、食料の69%以上を輸入し、かつその輸入原資を海外から稼いでいる日本国民は、自由で公正な市場経済システムがあればこそ「食えて」いる。国内の格差問題に対応するために、反グロ−バル化、鎖国型の所得再配分政策を採れば、資本と労働の空洞化は避けられない。そうなると、日本企業自身が国際競争に負けて潰(つぶ)れ、その結果、最も疲弊するのは日本国民の生活である。(つづく)

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