●顧客満足度日本一●
●「店頭」重視戦略 顧客の目線 社員に徹底 神奈川県大和市に、ホンダ系販売拠点のなかで「顧客満足度日本一」といわれる販売会社がある。県内で15の新車販売店を展開するホンダカ−ズ中央神奈川だ。ホンダ系販社は全国に840社、その傘下には合計2278の販売店(1月末現在)があるが、平成9年から10年連続で顧客満足度調査の上位をキ−プするホンダ中央神奈川の存在は競合他社にも知れわたっていた。 ホンダ中央神奈川の特徴は、訪問販売を排除し、徹底した「店頭販売方式」を貫いていることだ。同社の相沢賢二会長は「会社は家庭、社員は家族」と位置づけ、社員教育の徹底や子供の視点に立った居心地の良い店づくりを実践している。 店頭販売を進めるうえで欠かせないのが社員教育。その舞台は現場にある。あるとき、ユ−ザ−から「マットのゆがみを直してほしい」との要望があった。対応した工場長が「有料」と説明すると、「買ったばかりなのになぜ有料なんだ」という苦情が舞い込んだ。 「サ−ビスはここまでと自分で決めつけるな」。相沢会長は血相を変えて、この顧客の前で工場長をしかりつけた。「もう十分にわかったから」。2人のやりとりをしばらく聞いていた顧客は工場長を許してやってほしいと望み、これをきっかけに顧客との距離が縮まったという。 相沢会長が伝えたかったことは、顧客は「月謝をくれる先生」であり、顧客の目線を常に忘れないことだった。 昨年の国内新車販売台数が前年比6.7%減の535万台と3年連続で減少するなか、ホンダ中央神奈川は同1.4%減の落ち込みにとどめた。相沢会長は「まだまだお客さまは増やせる」と語り、構造不況も叫ばれる新車業界の逆風に立ち向かう。 実際、一度同社で車を購入した顧客が再び戻ってくるリピ−ト率は65%。業界平均の30−40%をはるかにしのぐ。 相沢会長の信念は、店を視察した日産のゴ−ン社長の心もとらえた。後に相沢会長はゴ−ン社長に招かれ、日産系販社の社長が集まる場で、トイ清掃から販売店の在り方まで、店舗運営に関するノウハウを話す機会を得たほどだ。 ホンダは18年3月、プリモやベルノなど3つのに分かれていた販売系列を一本化。どの販売店でも全車種を購入できるようにした。 「国内市場が厳しくなればなるほど、お客さまは選択肢を多く設け、人や店を重視する。販売店の責任が今まで以上に問われる」と相沢会長。販社のソフト重視路線は、商品の差別化や販売手法に頼った顧客満足度の向上策だけでは長いトンネルから抜けられないことを示唆している。(産経新聞2月15日付記事より掲載) |