●広がる国内格差●

東京港区・紅梅 後方ビルはソニ−本社
東京港区・紅梅 後方ビルはソニ−本社

●広がる国内格差 東京大学教授 坂村 健 氏

小泉政権の競争的な施策が格差を拡大したと批判する人がいる。しかし、お隣の韓国では最近まで革新系の大統領が格差をなくすことを旗印に多くの施策を行なっていたが、その結果はやはり格差の拡大だった。国の政治体制が本来大きく違っているはずの中国もインドも米国も日本も国内格差は広がっている。

ICT(情報通信)のデジタル化により、情報の割合の高い仕事から、場所の拘束を離れ、どんどん「グロ−バル化」する。その結果、中国やインドにそうした仕事が流れ、それらの国は確実に豊かになる。つまり、国の間の格差は減っている。減った分の格差は国内に向かう。場所の拘束により、分散が理論値より小さくなっていたその国の生産性の違いが、露骨に表面に出てくるようになるからだ。

もちろんサ−ビスや飲食など人間の関与の度合いが高く、どうしても場所に拘束される価値もある。同じ労働であっても、従来は日本で行なえば単価が高く、インドで行なえば単価が安かった。「日本で提供する」ということ自体が価値の一部だったからだ。

しかし、「地域限定価値」も、収入の少ない人間が増えれば、より安い労務形態や輸入を前提に、より安いものが提供されるようになる。しかし、同時に「グロ−バル・コンペティション」の中、世界を市場にもうけた人はよりよいものを求める。その結果はやはり格差の拡大だ。

税制などにより人口的にこの差を調整することが、場所の拘束が強かった過去には有効だった。しかし、資本が世界規模のデジタルネットワ−クで流れ、極度の流動性を持つ状況でそれを実施すれば、結局価値を生む機構である会社や工場が国外に逃げ、その国全体が貧しくなる。

デシタル化が開けてしまった穴を通しての、マクロな均質化とミクロな格差の拡大は本質的には不可避である。もしすべてが情報に還元できるなら、理論的には全世界が均等になるま続くだろう。

人類の平等という立場からは、それは必ずしも否定される状態ではない。しかし、人は物理的なだけでなく、文化的な場所としての国に縛り付けられている。他の国と同じといっても、今より貧しくなり、格差も広がる日本にはなってほしくないと多くの人が思うだろう。それを避けよとしたら鎖国しかないが、それも無理。だからこそ、情報に還元できない場所の持つ本来的な強みとして、日本の強みを考えなければならないのである。

前の「記事」へ戻る 「全公協たより35」へ戻る 次の「記事」へ進む

 全国ボウリング公認競技場協議会「トップページ」へ 「全公協たより・目次」へ