●地震から命を守る●

●地震から命を守る 富士常葉大大学院教授 重川 希志依(きしえ) 氏

地震から命を守るために、起きてから出来ることはほとんどない。阪神大震災の教訓からはっきり言えるのは、まず我が家がつぶれないようにすることだ。

この震災の直後に亡くなった約5500人のうち、9割は自宅で命を落とした。検視結果をみると、8割以上が即死だった。仮に自衛隊の出動がはやくても、救える命はごくわずかだったろう。

首都圏で「地震で一番危ない場所は」とアンケ−トしたところ、地下街、高層ビル、地下鉄が上位を占め、「我が家」と答えたのは最も少なかったという。多くが安全だと信じている我が家で、多くの命が奪われる。すぐに改修できないなら、家具は固定し、寝室には置かないなど出来るところから始めよう。そうしてリフォ−ムや建て替えの時には必ず耐震性を高めてほしい。

それでも自宅や家具の下敷きになってしまったら、だれが助けてくれるのか。日本火災学会の調査によると、阪神大震災では32%が家族に、28%が友人・隣人に助けられた。消防の救助隊などに助けられた人はわずかに2%だった。

多くの場合、助けようとしてくれる人が近くにいるかどうかが生死を分けた。普段の生活なら、近所付き合いなしでも困ることは少ない。近所の人は、余震が続き火災が迫るなかで、普段言葉も交わさず、家族構成も分からないあなたの家族のことを気にかけてくれるだろうか。災害弱者とは高齢者や障害者だけを指すのではない。地域とのつながりが薄い人が災害時には弱者となる。

国の被害想定で「首都直下地震で13,000人が死亡」と膨大な数字を突きつけられても、びんとこないかもしれない。しかし、地震の活動期を迎えた日本列島は、いつどこで大地震が起きても不思議ではない状態だ。自分や家族が犠牲になるかどうかは、今のあなたの備えにかかっている。

震災を語るへ

前の「記事」へ戻る 「全公協たより35」へ戻る 次の「記事」へ進む

 全国ボウリング公認競技場協議会「トップページ」へ 「全公協たより・目次」へ