●客足の絶えないカレ−ショップ●
●カレ−と真剣に向き合い、自分の味にこだわり続ける すぱいすオ−ナ− 佐藤 真司 氏 2002年8月、荻窪にカレ−ショップをオ−プン。自宅が荻窪で、店を出すなら地元と決めていました。開店当初こそ多少の売り上げはあったものの、その後、翌年の3月まで全く予想もしなかった大赤字。十分な準備期間を設け、綿密に計画を練り上げ、自信満々だっただけに大ショックでした。 朝から晩まで、休みの日にさえ働いているというのに、貯金がどんどん減っていく。子どもがいるのに、これからどうなってしまうのかと精神的に追い詰められました。不安で夜も満足に眠れず、のどがカラカラに渇いて目覚めると、まだ30分しか寝ていない。これが夢であってほしいと何度も思いました。自分の人生の中で、本当にどん底の経験をしました。 4月になって、暖かくなってくると、客足にも好転の兆しが見え始めました。5月の連休明け、料理評論家の山本益博さんが店に来られました。胃にもたれないカレ−だとほめられ、2週間で6回も来ていただきました。さまざまなメディアにも紹介していただき、店の知名度は一気に高まりました。 僕のカレ−は化学調味料を一切使わず、発酵調味料を使っているのが特徴です。小麦粉やバタ−も使わないサラサラのル−。和のエッセンスを持ったインドカレ−、と言われたこともあります。万人受けする味ではなかったので、お客様に受け入れられるのに時間がかかるのは当然だったのです。 僕はお金持ちになりたくて店を始めたのではありません。ものをつくって、お客様にお出しして、おいしいと言っていただく。その喜びを味わいたくて、今の仕事をしているのです。ただし現状に満足せず、日々進歩はしなければと思っています。お客様とともに、自分はもちろん、店の従業員たちも進歩している。それを実感できた時が、いちばんの喜びですね。 |