●首都直下地震・シミュレ−ション

伊豆の海 小野竹喬 画 1960年
伊豆の海 小野竹喬 画 1960年

内閣府の中央防災会議「首都直下地震避難対策等専門調査会」(中林一樹座長・首都大学東京教授)は、東京湾北部を震源とするマグニチュ−ド7.3の地震が冬の正午に発生、23区の約46%で断水しトイレが使えなくなると想定。通勤・通学者ら約1,270万人が一斉に徒歩で帰宅を目指したり、避難所へ向かうケ−スを分析した。

試算では、公衆便所などの需要が急増し、地震発生から6時間のうちに12区でトイレ需要が供給量を超えた。不足は都心ほど深刻で、官庁・オフィス街が集中する千代田区では、午後2時の時点で需要に対する不足率が82%となり、4.5時間待ちの状態が発生。その後も需要は増え続け「何時間待っても利用できないような状況になる」という。

新潟県中越地震や阪神大震災などでは、被災地で排泄物が山のように積み上げられたり、トイレを我慢するために水分を控え、血栓症を引き起こすなどの事例があり、トイレ対策の必要性が指摘されている。

都心から離れた区でも、幹線道路沿いは徒歩帰宅者が集中。世田谷区の国道246号沿いでは、17時間にわたり不足状態が続くとみられる。

対策は@混雑を避けるため帰宅日時をずらすA企業は社員用の簡易トイレなどの備蓄を進めるB個人も介護用おむつなどを常備するなど。中林座長は「コンビニの袋とポケットティッシュを持っているだけでも違う」と話している。

※首都直下地震

首都圏で起きるマグニチュ−ド7級の地震で、今後30年以内に起きる確率は70%とされる。最悪の条件では死者は11,000人、負傷者21万人に上り、経済的な被害は112兆円、建物の全壊・焼失は85万棟に達すると想定されている。

※災害教訓 関東大震災(1923年・大正12年)

住家全潰率と震度分布
住家全潰率と震度分布

関東大震災の死者・行方不明者は約105,000人で、我が国の自然災害史上最悪である。そのうち、火災による死者は約92,000人で圧倒的に多いが、それ以外の13,000人のうち、強い揺れで住宅が全潰したことによる死者数は約11,000人とこれまた非常に多い。

関東地震は、東京での大火災による被害があまりにも大きかったために、東京の地震だと思っている人が多いが、震源域は相模湾を中心に広がり、住家の全潰率から評価した震源分布を見ても、神奈川県から千葉県南部を中心に震度7や6強の地域が広がっている。

※いつ起きてもおかしくない大地震

日本は、世界でも稀に見る地震の多い国と言ってよいでしょう。地震とは、そもそも地下の弱いところが一気にずれる現象で、プレ−ト(岩盤)とプレ−トの境目で多く発生します。日本列島が位置する環太平洋は、ちょうどこのプレ−トの境目に当たり、さまざまなプレ−トが重なる掃き溜めのようなところなので、あちこちにほころびが生じやすいのです。

地震には「海溝型地震」と「直下型地震」の2種類があります。海溝型地震とは海溝に沈み込む海のプレ−トが陸のプレ−トを引きずり込もうとする時、陸のプレ−トが元に戻ろうとする地からによって発生する地震のこと。大正12年(1923年)の関東大震災や、現在心配されている東海地震、東南海地震も、このタイプだと考えられます。この地域では、マグニチュ−ド8程度の地震が100年から150年間隔で起きています。前回の安政東海地震から150年過ぎていることから、静岡県西部、駿河湾一帯の東海地震はいつ起きてもおかしくないと言ってよいでしょう。

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