物忘れには、脳に栄養補給を

長野県安曇野市・碌山美術館
長野県安曇野市・碌山美術館

●物忘れは、脳の老化のサイン 杏林大学医学部教授 古賀 良彦 氏 1946年生

脳の衰えを実感するのはどんな時ですか?

1.人の名前が出てこない       78.5%
2.知っている漢字が書けない     46.8%
3.物をどこにしまったか忘れてしまう 40.2%
4.映画のタイトルが思い出せない   34.0%
5.集中力がなくなった          30.5%
6.昨日食べたものが思い出せない  16.8%
7.注意力がなくなった          16.7%
8.歌詞を忘れて歌えなくなる      14.0%

■脳の健康維持対策をしていますか?

1.対策をしていない  69.0%
2.対策をしている   31.0%

*40代−60代の男女600人を対象に行なった実態調査より(2008年5月)

■物忘れは、脳の老化のサイン

体だけでなく脳も老化します。なかでも衰えやすいのが、記憶を司る「海馬」。だから、脳の老化をまず「物忘れ」として実感するのです。ある程度の「物忘れ」は自然な老化現象で、健康上の問題はありませんが、脳の健康対策を始めるサインと考えて欲しいですね。

■脳に重要な栄養素

アラキドン酸(ARA)は、脳の細胞をつくっている重要な栄養素で、記憶を司る「海馬」に多く存在し、学習と関わることで注目されたDHAと同じ必須脂肪酸です。ただしアラキドン酸もDHAも加齢とともに減少し、体内ではほとんど生成されません。ですから食事などで補給しないと減少が抑制できず、脳の老化がさらに進んでしまう可能性があるのです。

■脳の老化を改善する

私たちの研究グル−プでも、60歳−70歳の男性にアラキドン酸を1カ月摂取してもらい、脳の機能の変化を調べたのですが、結果は驚くべきものでした。情報処理スピ−ドは速くなり、集中度も高まりました。つまり頭の回転が速くなったのです。年齢に換算すると、5−8歳分も脳が若返ったことに相当します。

■脳を若々しく保ちたいなら、肉や卵で

アラキドン酸は、肉類や卵などに多く含まれています。「物忘れ」を実感している40代以上の方は、脳を若々しく保つためにも、積極的な摂取をおすすめしたいですね。ただ、肉類や卵を控えているという中高年の方などは、アラキドン酸をとりにくくなる傾向があるようです。

■脳内で幸福感を生む物質に変化する、アラキドン酸

アラキドン酸の一部がエタノ−ルアミンという化合物と結合すると「アナンダマイド」という物質に変化するといわれています。「アナンダマイド」は、脳に作用して幸福感や楽しい気分をもたらす物質です。「肉を食べると元気になる」「幸せな気分になる」という人が多いのも、肉類に多く含まれるアラキドン酸と関わっているのかもしれません。

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