●心を込めて料理を作ることが修行

大根 
大根 

●生きたみ仏に心を込めて作る 大津市・月心寺住職 村瀬 明道尼 氏 84歳

朝の勤行の代わりに、ごまを約1時間かけてすっています。お経の一言一句を間違わずに読むことより、今日ここに来てくださる方々に食べていただく大根やゴボウを精魂込めて炊く方を私は選びます。

江戸時代、臨済宗の白隠禅師は「衆生本来仏なり」と説かれた。生きとし生けるものみなが、み仏なのです。私の場合、ここを訪れる「生きたみ仏」であるお客さんに心を込めて料理を作ることが修業です。大根やニンジンも、おいしく食べていただくことで成仏するのではないでしょうか。先代の住職村上独潭老師も「料理とは命を預かる仕事であり、何より大切な修行」とおっしゃった。

旬のものを安く手に入れ、美しく刻み、手早く調理して、心を込めて盛りつける。何より重要なのは「君がため」です。大切な、大切な人に食べていただくという気持ちで作る。そこに込めた愛情が一つでも欠けたら、ゼロになってしまう。

月心寺の箸袋には「功の多少を計り彼の来処を量る」など5項目の「食事訓」が書いてあります。表現は難しいのですが、食べ物が自分の所に来るまでにかかわった人々の労苦を思う。自分たちの徳行が少ないのに、この食べ物をいただくことを過分に思い感謝する。暴飲暴食を慎む。食事は五体を養う良薬として、悔いのない人生を送るためにいただくということを説いています。

食事が平穏にいただけることは、平和な暮らしの証し。親が死んだり、地震や火災に遭ったり、心配事があったりすれば、ご飯がのどを通らなくなる。日に3度もいただけることを感謝して暮らしたいものですね。

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